【聖書ウラ話】 バベルの塔

作:中井たかし 

 神さまは下界の様子を見て、ぷんぷんと怒っています。
人間たちが、天まで届く高い高い建物を作ろうとしているからです。

「そこにみんなで住もうというわけか。それでは世界に人が広がらないではないか。
よーし、作業ができないようにし、人を方々に散らしてしまおう」

 神さまはそう言って、人間たちの言葉を乱してしまいました。

「ん? んんん? 何を言っているのか、さっぱりわからんぞ。
昨日まで普通に喋っていたというのに」

 人間たちは、相手の言葉がまったく理解できなくなってしまいました。現場は大混乱です。
思いが伝わらないことにいらだち、しまいには、ケンカをする者も出てきました。

「こんな状態では、作業なんてできやしない。やめた、やめた。工事は中止だ」

 みんなは現場をほっぽり出して、ちりちりばらばらにどこかへ行ってしまいました。

「さて、おれたちも新たな土地を見つけるとするか。
母ちゃん、荷物をまとめてくれ」

「でも、あんた。うちの子たちがお隣さんの子どもと、ほら」

 まだうまく言葉が喋れない子どもたちは、身振り手振りをまじえながら
キャハハ、キャハハと楽しそうに仲よく遊んでいました。

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