【聖書のウラ話】「人類誕生」

作:中井 たかし

「世界イケメンコンテストの優勝者は……」

 司会者の声の後、ドラムロールが鳴り響きました。
 緊張の一瞬です。

司会者が大きく息を吸い込んで、「五番のアダムスくんです!」

 次の瞬間、1人の青年にスポットライトが当たりました。
 観客席から大きな拍手がわき起こり、青年は両手を高々と突き上げて喜びました。

「なるほど。あれが世界一のイケメンか」

 観客席の端っこからそんな声が聞こえたかと思うと、声の主は人知れずスーッと消えてしまいました。

「これこれ、弟子っ子よ。頼んでおいた仕事をほっぽり出して、どこに行っていたんだ?」

「あ、神さま。実は、未来に行って、世界一のイケメンを見てきたのです。
神さまは、われわれに似るようにとおっしゃいましたが、どうせならイケメンに似せるのがいいと思いまして」

「ほほう、それは妙案だな。では、始めてくれ」

 弟子っ子は「はい」と元気よく返事をすると、さっそく土のちりをコネコネしながら、アダムスくんの顔を作りました。

「よしよし、われながら上出来だぞ。あとは神さまが、この形のいい鼻に命の息を吹き込むだけだ」

 そうして、それは生きものとなり、アダムと名づけられました。

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