【聖書のウラ話】「ノアの方舟」

作:中井たかし

「ねえねえ、聞いた? ノアという人が大きな方舟を作っているらしいよ」

「へえ、そうなんだ。初めて聞いたわ。でも、どうして方舟なんて作るの?」

「なんでも神さまが大雨を降らせて、洪水を起こすからなんだって」

「それで方舟なのね。方舟だったら洪水になっても、ぷかぷかと浮いていられるものね」

「うん。それも、陸地がなくなっちゃうぐらいすごい洪水になるらしいよ。世界中が水浸しになるんだって」

「山も全部、水の中に沈んじゃうの?」

「そうだと思うよ」

「アララト山も?」

「だろうね」

「じゃあ、水の中に沈んだら頂上に行ってみよっと。あたしね、一度高い山に登ってみたかったんだ」

「だったら、ぼくもいっしょに行くよ。山の頂上って行ったことはもちろん、間近で見たこともないからね」

「全部が水につかる前に、てっぺんに腰かけちゃおうよ。座り心地のいい場所があるといいなあ。うふ、楽しみ」

 そう言って人魚たちは、うれしそうに笑い合いました

 

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