【聞き違い戦国史】「本能寺の変 その弐」1582年

作:中井たかし

(明智光秀が織田信長を奇襲。兵力の差は歴然で、信長は果敢に槍や弓で抵抗するも最期は自刃する)

備中高松城を攻めていた羽柴秀吉を援護するため、織田信長は出陣し
その道中、京の本能寺に泊まった。

そこでこういう噂を聞いた。

徳川家康が別人だと。

ならば、嫡男信忠も……。

第一に、あれほど好きだった能のことをまったく口にしなくなったではないか。

確かに能道具を取り上げ謹慎はさせた。
にしても……。

蘭丸は何か掴んだであろうか。

そこに蘭丸が駆け込んできた。信長はとっさに聞いた。

「信忠が別人か」と。

しかし、何ということか。蘭丸はこう返答した。

「いえ、上様。明智が別心(謀反)と見えます」

何と別人は光秀だったとは! 

そういえば、近頃の光秀は……。

どこでいつ入れ替わったのだ。

が、今さら考えても詮のないこと。

「上様!」

「あ、ああ。是非に及ばず」

しかし、これまでわしを欺いていたとなれば、懲らしめてやらねばならん。

奴はどこぞ。

信長は槍を手に猛然と部屋を飛び出した。

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