【おやこで物理!】 「ヒッグス粒子」の巻

作:中井たかし

父ちゃん/物理に少し詳しい営業マン。子煩悩。

太郎/好奇心旺盛な小学三年生。野球が大好き。

「素粒子に重さがあるのは、『ヒッグス粒子』のおかげなんだ。
もし素粒子に重さがないと、光子のようにあっちこっちに光速で飛び回ってしまい、原子もできず、人間も存在しなくなる。
だから、ヒッグス粒子は『神の粒子』と呼ばれているんだ」

「すごく大切な存在なんだね」

「そうなんだ。お、バスが来た。よし乗ろう」

「うわー、超満員。身動きが取れないよ」

「動きづらいだろ。つまり、このバスみたいに空間にヒッグス粒子がぎっしり詰まっているから、素粒子は動きづらくなる。
その動きづらさこそが、重さなんだ」

「このバスの乗客が神さまってことだね」

「そういうことだ。よし、バス停に着いた。降りるぞ。ちょっとスイマセーン。降りまーす。
ふう。やっと降りられたな。あれ? カバンがない。
しまった、バスに忘れてきた」

「ちょっと、これ、あなたのカバンでしょ」

「あ、おばさんがバスの窓からカバンを投げてくれたよ。
さすが神さま、やさしいね」

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