【おやこで物理!】 「重力」の巻

作:中井たかし

父ちゃん/物理に少し詳しい営業マン。子煩悩。

太郎/好奇心旺盛な小学三年生。野球が大好き。

 

「だったら、あのおばさんに立ってもらおうよ」

「おいおい、それは違うんだ……おい、待て太郎。あちゃー、行っちゃった」

「ねえねえ、おばさん。ぼくがボールを投げるから、バットを持って構えてくれないかなあ。すごいカーブを見せてあげるから。はい、バット」

「あらあら、おばさんは野球できないのよ」

「大丈夫。立ってるだけでいいから。だって、おばさんかなり重そうだもん」

「あら、カチンとくる発言。どういう意味かな?」

「ええっと、今教えてもらったんだけど……父ちゃん、説明してあげて」

「お、おい、太郎」

「お父さまですか? ご説明、願えますか?」

「あ、いや、実は重力の話をしていましてですね。重力とは空間のゆがみのことで、重たいものだと重力も強く、光さえも曲がってしまうほどだと、こう説明したわけですが、それは星のようなとても重たい場合であって、決してあなたのような太った方では……ああ、すいません」

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